アンダーカレント

すでに原作が映画をみたといえるほど完璧な作品で、おそらく多くの実写化の話があっただろう。ただ、その完璧さゆえになかなかうまくいかなかったことも想像できる。

そのコマを実写で撮れば映画になるのか、その話をそのままなぞれば映画として成立するのか、売れる要素を盛り込んで破綻しないか、誰が演じるのが良いかetc

とにかく、いろんな意味で実写化が困難とされた作品、それを実写化したのは今泉力哉監督だった。

 

ここ最近邦画の流れが少し変わってきたな、と思うのが実写化を同じ人に頼まなくなってきたことだろう。テレビ局主導だとキャスト、監督に縛りがある、そこでなかなか納得できる監督にならない。今泉監督はメジャーとは言えない独立系の監督でありながら今作を監督するときに批判的意見が少なかったこともあり、ものすごく信頼感のある監督と認識されている。

 

人を理解する難しさ、その上で人を想う、心の底流に流れる想いは人にはわからないけどそれでも人は一人では生きられないなぁとつくづく思う。

 

映画の風景を見て、今の日本を表す光景は山の緑だなと、紅葉でも枯れ木でもなく鬱蒼と茂る緑、あれが今の日本の原風景だなぁと映画を見ていて思った。

 

あとは演者、未だに井浦新になれない、俺たち世代にとってのムービースターの一人ARATA、主演の真木よう子はやっぱり良い女優で、なんかトンデモ発言とかで狂わずそのまま女優として進んでほしいと常々思っている。サマータイムマシンブルースで眼鏡姿のかわいさから虜だけど今でも美貌も衰えず、演技力もぴか一。そしてあてがきのようなリリーフランキーなど演者も完璧な布陣だった。

 

こういった良い映画にもっと人が集まると良いな、興収10億くらい行くと良いな