女子のロードムービー

  • ペタルダンス

 先週見るはずだったがいろいろと重なって見れずじまいだったペタルダンスを仕事終わりに映画を見に行く。石川監督7年ぶりの新作は自殺未遂をした友達に6年ぶりに会いに北へ向かう女性たちのロードムービー。主演は宮崎あおい安藤サクラ忽那汐里吹石一恵宮崎あおいは前作"好きだ、"に続き2作連続主演となった。
 自殺した友だち6年ぶりに会いに行くというプロット、演者もメイン4人以外はごくわずかしか出ておらず、情景を見せるスタイルは、前作からの石川ワールドだが、今回はそれに加えてよりアドリブ要素を強めた会話シーンは旅情感と感情の動きを強く表現していた。北へ向かう車内で見せる宮崎あおい安藤サクラ忽那汐里の表情、病院の屋上で呼びかけられて驚く吹石一恵の表情に見入ってしまう。そして石川監督独特の色調が冬の東京、青森にとてもマッチしていた。石川監督の作品を見てあの特徴的な色調について思うのは、ただカラーグレーディングして同じ色を作るだけでは表現できないものだと感じている。色をまねることは出来ても映画として成立できないだろう。作品全般を通して出てくる映画としての色調表現、カメラワーク、カット割、構成があってあの色調が意味を成してくる、それは監督が長年積み上げてきた作風なんだろう。
 そして音楽は管野ようこ。石川作品の常連だが、アニメで提供される音楽とは一味違った、しっとりとした音楽を今作でも聞かせてくれる。前作好きだはサントラがなく、今作はitunes限定とスコア付のものが出てるのでどちらかは買いたい。

 かつて専門学校で5日間だけ石川監督のセミナーを受けたが、あれが現在映像業界で仕事をしていく中でとてもためになっているし、影響された部分だと思う。映画を作ることをあきらめず、今でもオリジナルにこだわり作品を作り続ける石川監督には今後も作り続けていってほしい。すばらしい映画だった。

 舞台となった弘前は去年末からお気に入りバンドの聞こえないふりをしたとともに一度は行ってみたい場所である。


 http://www.petaldance.jp/