生き方、そして悲報

  • レスラー

 前作"ファウンテン"ですべったアロノフスキー監督の新作レスラーを見る。
 前作とはうって変わってしょぼくれたかつての名レスラーの物語だが、そこにはプロレスの"作り"や"薬"の話も出てきて、かなりしっかりとプロレスを描いていた。アメリカのプロレスは大小さまざまな団体があるが、ほとんどWWE一人勝ち、続いてTNA、そしてROHといった順番で、今回劇内ではROHが出てきていた(これ以外にものすごい数のインディー団体がある)
 プロレスとは肉体の強さを見せる戦いの場であり、エンターテイメントを提供するショーでもある。プロレスのリングに必要なのはそのレスラーの生き様であり、それがファンをひきつけるのだと思う。人が自分の輝ける場を失ったとき、新たな活路を見出せる人ばかりではなく、そこに固執せざる得ない、そんな主人公の生き様を見せる映画だった。
 そして、そんな映画を見た日に届いた悲報、三沢光晴の死。いくらプロレスがやらせだといっても、そこで受ける打撃や技は偽りないものであり、時として死に至る。三沢ほどの名プロレスラーだって命を削って戦い続ける場なのだ、プロレスのリングは。生易しいものでは絶対にない。まだ、46歳、武藤敬司蝶野正洋とともにもっとプロレス界を盛り上げていって欲しかった矢先なのに誠に残念でならない。
 ご冥福をお祈りいたします。