蒼天航路の華鉈みたいな人

人は自分の仕事が安定したり停滞してくると、働き方とか社会とか政治とか語り始める。そうなり始めたら存分やばい。
 青色発光ダイオードを発明したとされる中村修二もやたら日本社会への提言ということでしかメディアに出てこず、田中耕一は一滴の血液から病気を早期発見する研究でニュースになっている。メディアに出たがるかどうかという話を置いといても、本業がうまくいかなかったりすると、人は社会とか政治とか語りだす。みんなあなたの成果を見て尊敬したり好きになったりしてくれるのであって、あなたの人間性がきっかけではない。
 社会とか政治語りだすと、”あ、この人衰えや渇望を立場で乗り切ろうとしてるな”と思い距離をとるようにしてる、Twitterもくそつまらなくなる傾向にあるのでミュートする。

今回はロボットいっぱい

  • パシフィックリム アップライジング

 ファーストデイで映画を見ようと仕事帰りの日比谷で鑑賞。レジェンダリーが中国のワンダグループに買収されたので基本制作は中国なハリウッド映画、キャストの中心も中国系が占め、マコはそこそこ重要な役だけど前半で退場。ここ最近の流行りのように多国籍なキャストももうすっかり見慣れてきて、別に多国籍なことに意味もない。
 映画自体はおもしろい。基本ロボットがガンガン戦うだけで満足なのだ。ただ、ここ最近のハリウッド映画のように続編沼というか一作目と比べると普通になってしまう。ここはもう仕方がない。
 最後の日本云々がマジンガーオマージュなのは気づかなかった。続編は作れるのだろうか?中国でヒットしたんだけどワンダグループの経済状況が悪いのが気がかり。

妄想とオタク

 最近は仕事も早く帰れるので以前より話題になっていた勝手にふるえてろを鑑賞。原作は最年少で芥川賞を受賞した綿矢りさ陰キャOLの妄想恋愛ラブコメだが、これがとてつもなくおもしろかった。久しぶりに映画館で見て、よかったなぁというおもしろさ。ここ最近はハリウッド大作、ほぼアメコミしか見てなく、面白いんだけど若干の義務感もあって、今年は色々見ようと思ってた矢先のひさびさの邦画、これが大当たりだった。
 妄想と現実を超えながら、中盤から一気に展開していき、感動の中にも笑いを含めてきて、演出も演技もとてもよかった。これは語りたくなるのもわかる。
 何より主演の松岡茉優が素晴らしすぎて、ファック連発したり、妄想で明るくしゃべったり、急に暗くなったり、時にオタク陰キャ丸出しだと思ったら、途端にフォトジェニックに変わり、そしてなきの演技ともう、松岡茉優本当にすごいなぁと。この時は大河もやってたのであの演技も入ってたんだろうか、原作読んでないのでだいぶ変わったところがわからなかったが、そこを納得させるシナリオと松岡茉優の演技だったようだ。
 その他の役者も黒猫チェルシー渡辺大知もはじめのうざい男から後半一気にかっこいいやつになってきて、見ごたえあった。

 本当にここ最近のハリウッド映画が面白いんだけど薄く、全く余韻の残らない中でここまで後から後からいろいろ話したくなる良い映画だったなぁ。書ききれないほど細かいところでよいところ多かったんだよな。

金儲け至上主義の世の中で

 これだけ上から下まで金の話しかしないんだから、金稼ぐことが最重要な世の中で、人形買い占めるのも、老舗の店をつぶして観光客用に切り替えるのも金儲けのための行為なんで肯定されるべきで、それが皆さまの望んだ世界のはずなのに、急に信頼とか言い出しやがる。
 SNSでも金だ、契約だ、有給だと金、金、金。少し前はビットコインだなんだと騒いでいたのに一気にいなくなりおったなぁ。

見えないヘイトがたまっていく感じ

 ここ最近の、我々はマイノリティだが普通に扱ってくれ特別扱いするな、からのお前らのやってることは見えない差別だ、自重しろの流れが本当に生きづらく、向こうはマイノリティは差別されるから何言ってもいいという形になっており、おそらくここに書いてある文章も間違いなく自分は差別主義者扱いされるだろう。
 ここ数年で差別的な言葉はなくなってきた、それはあくまで表面上なところで。ただ、心の深いところが抑圧から反発し始めている。それがトランプ政権をはじめとする各国のナショナリズムの台頭になっている。一時期、やたら日本のほめる番組に文句言うやつがいたが(そしていまでも)あれもたたきすぎてあまりテレビでやらなくなった。じゃあ日本は自虐で生きろということなのだろうか?そういう抑圧されたものが今ぐつぐつの沸き立っており、本来大半が中道だったのに今右に寄りつつある、これは左が大きくなりすぎて中道の真ん中がずれたともいえるけれど。
 左の声がでかくなりすぎてしまった、人数じゃなく騒ぐ人間の声の大きさの話で、中道の人が左派に反発し少し右によってやっとバランスが取れてくる。そこに左派がナショナリズムだ、差別だ!!と騒ぎ、また左が重くなる。バランスをとる中道は右による。
 トランプ政権もこういう流れが生んだんじゃないだろうか?

新時代の王

MCU至上最大ヒット作のブラックパンサーを見に行く。アフリカを意識した色彩がきれいで、画面が鮮やか、主人公のティチャラをはじめ、妹のシュリをはじめ、近衛と言い、今作のヴィランのキルモンガーと脇のキャラが立っていた。ユリシーズクロウをあっさり退場させたのは盛り込みすぎをしないためなのはわかるがちともったいなかった。
 面白いと言えば、おもしろい。じゃあMCU至上最高かと言われれば、まぁ他の作品と同評価でしかないかなぁという感想。面白いことは面白い。
 じゃあ何が問題かと言われれば、数作前まではエンタメの中に社会問題を盛り込んできたのが、今は社会問題がもろにエッセンスとしてぶっかけられて表に出てきてて、もう映画が先か、ハリウッドのご都合正義を見せられてるのがものすごく浅いなぁと感じてしまい、なんというか方向的には9.11のテロのときの反テロ大作映画っぽい感じなんだよな、アクション映画として見てたら急にご都合的な浅い社会正義が出てきて、いやいやもっと現実はいろいろと込み合ってるのをそんな簡単な話で片付けるのかい?て思ってしまう。わかるよ、黒人差別とか、もろもろ、でもそんな急に濃いスパイスかけまくったらその味しかしないよね、という感じで。
 実はハリウッド事態、客が減り始めて問題になってるニュースが流れたんだが、この当たりのハリウッド式押し付け正義(俺たちは平等、お前らは差別主義者的な発想)があると思うんだよね。
 ブラックパンサーの思想もわかるし、黒人ヒーローとしての立ち位置もわかる、けど最後の演説はもろ反トランプだし、なんか今の日本もアメリカもそうなんだけど、トランプと安倍首相変わったら全部よくなる体で話してて、まずはなんで選ばれたか、あなたたちの選んだ人間が選ばれなかったのかをちゃんと分析できてる?(そこを反知性主義とか言っちゃうんだよね、それこそ差別だろうに)という深さがない。

 良い映画なのはわかる、でもなんかそこまで言うほどか?とも思うし、それを言うと批判される感じが、俺たちの正義に加担しないお前らは悪といういやそれこそマーベルに出てくるヴィランじゃね?という話。

おもしろいよ、おもしろいけど社会情勢に引っ張られ過ぎて、もう少しなんとかならんかったかな、と思ってしまった。

今作抜群によかったのはキルモンガーのカッコよさと妹のシュリのキャラがたっていたこと。シュリは今後も出てくるみたい。