秩序

  • ボーダーライン

 日本映画くそ騒動からさぞ客が入っているかと思いきや、平日最終上映は1割程度の客入りで、はてあれだけ騒いでた屑どもはどこにいるのだろうか?と思いながら、遅延した電車がぎりぎりで間に合い、ボーダーラインを見に行く、原題はSICARIO、そのままのタイトルでもよかったのではないだろうか?
 
 舞台は現代、人質救出を担当する女性捜査官が、スカウトされ、メキシコの麻薬カルテルの捜査をしていく。映画全体を漂う重い雰囲気、リアルな銃撃戦、響く重低音と重厚なサスペンス・アクションが展開していく。サンダル履きの捜査官にジョシュ・ブローリン、そして謎の男を演じるベネチオ・デル・トロ、主人公であり、紅一点エミリー・ブラントとこれまた濃いメンツが揃って、見ていて緊張感が漂う。(エミリー・ブラントはアメコミヒーローやっても似合うと思うんだよな)
 現代アメリカの対麻薬戦争はニュース聞くだけで壮絶で、メキシコでバンバン人が死ぬし、検索しちゃうと死体映像とかでてきてしまうほど。映画の中でも人の命が散っていくが、必ずしもその命が軽いわけでなく、それぞれに背負うものがあるのも要所要所で入れてくるのはうまい演出だった。

 秩序のために法を超えていく、それに悩む主人公は今流行りのアメコミものでも描かれるテーマだが、あっちは架空の物語と架空のパワーが出てくるのに対して、こちらは実弾と実銃、そして首を切られた死体と嫌な意味でリアルで現実とつながっている話だったりするところが恐ろしい。悪を罰するのではなく、秩序を作る、そのためには法を超える、それは現在の自分たちの生活の中でも多かれ少なかれ近いことが起こるし、そこを軽々と飛び越えてしまうのは危険なことだと思う。正義とは何だろうか?


続編の話もすでに出ているようで、どう展開していくんだろうかね。